大判例

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東京地方裁判所 昭和27年(行モ)44号 決定

右当事者間の昭和二十七年(行モ)第四四号退去強制令書執行停止命令申請事件について、申請代理人は、

申請人は昭和六年二月四日東京都品川区南品川五丁目二百六番地に於て出生以来本邦に在住して居る朝鮮人であるが、昭和二十七年四月二十六日入国管理庁東京出張所の入国審査官上野力一は申請人が外国人登録令第十三条第五号前段の罪を犯し、同法第十六条第一項第二号に該当するものと認定し、これに対して申請人の請求した口頭審理に於ても、右出張所の特別審理官は同年六月六日上野力一の右認定を誤りなきものと判定したので申請人は入国管理庁長官鈴木一に対して異議申立をなしたが同年七月九日右異議申立を理由なしとする裁決があり、これに基き被申請人は同年七月二十三日申請人に対して退去強制令書を発付した。申請人が昭和二十六年七月二十五日東京地方裁判所に於て竊盗罪並に外国人登録証明書不携帯の罪(併合罪)について懲役一年に処する旨の判決を言ひ渡され、該判決が確定したことは事実であるが、右事実は申請人がたまたま登録証明書を自宅に置き忘れて居たにすぎないのであつて、登録証明書不携帯の右事案についてのみならば不起訴処分又は罰金若くは執行猶予に附せられるのが通常である。して見れば本邦に於て出生し朝鮮に何等の生活上の手掛りもない申請人に対し、その退去を強制することは権限の濫用であるから、被申請人の右退去強制令書の発布は違法である。よつて申請人はその取消を東京地方裁判所に訴求して居るが、その判決ある迄に右退去強制令書に基く強制送還の執行を受ける時は償ひ得ない損害を蒙ることとなるので、その強制送還処分の執行停止を命ぜられむことを求める。旨申立てた。

当裁判所は右申立を理由あるものと認め、行政事件訴訟特例法第十条に基き主文の通り決定する。

申請人 黄仁杓

被申請人 東京入国管理事務所長

一、主  文

被申請人は昭和二十七年七月二十三日申請人に対して発した退去強制令書に基く強制送還処分の執行を停止せよ。

(裁判官 新村義広 入山実 石沢健)

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